2022年は化石燃料の高騰により、電力会社の経営が大きく圧迫されました。この結果、2023年度に向けて、電気料金値上げを目指す動きがあります。料金制度は少し複雑なため、この問題を把握しておけばライバルに差をつけることができます。
燃料費調整とは?
2022年はロシアのウクライナ侵攻により、化石燃料価格が高騰しました。現在の電気料金には「燃料費調整」という制度があり、化石燃料価格を電気料金に自動的に転嫁する仕組みがあります。燃料費調整により電気料金は既に上昇しています。しかし一般家庭の一部の料金には調整の上限が定められており、これを超える転嫁はできません。このように燃料費調整は化石燃料価格の変化を自動的に料金転嫁するのですが限界があるのです。
調整の上限は1.5倍
上限は、現行の電気料金が策定された水準の1.5倍です。料金算定時の原油・天然ガス・石炭価格を消費量によって合成した水準から1.5倍までの調整のみが認められてます。昨今の化石燃料価格は円安の影響もあって、1.5倍をゆうに超える水準に達しています。2022年1月時点で、ほとんどの電力会社の料金はこの上限に達しており、料金転嫁できない電力会社の経営は極めて苦しい状況にあります。
すでに5社が値上げを申請
そこで2022年11月、東北、北陸、中国、四国、沖縄の5社が2023年4月の値上げを申請しました。また北海道、東京の2社も続いて値上げ申請を行う見通しです。電気料金の値上げには経産省の認可が必要で、この審査がすでに始まっています。審査の結果、各社が申請した値上げ幅が抑制される見通しです(このプロセスを「査定」と呼びます)。
自由化したのになぜ認可が必要なのか?
電力市場はすでに全面自由化されているため、電気料金の設定は本来、自由です。しかし消費者保護の観点から、低圧(100Vまたは200V)の電気料金は一部に経過措置が設けられており、値上げに認可が必要な制度となっています。このため、電力会社は自由に料金水準を決めることができないのです。
まとめ
電気料金の値上げは新聞等で皆さんご存じのことでしょう。しかし、燃料費調整の上限があらかじめ決まっていること、自由化された市場で料金規制が残っていることなど、値上げの背景を知る就活生はほとんどいないと思われます。これらの情報を正確に把握して、万全の備えをしておきましょう。