体育会バイアスはなぜ存在するのか?
2023年卒の就職活動が徐々に本格化しています。コロナの影響により就職戦線が大きく変化している中で、業務内容が比較的安定している電力業界は学生の人気が高まっています。
石油・ガス業界では伝統的に体育会バイアスがある、という指摘があります。これらの業界では都市対抗野球やバスケットボールなど、強力な社会人チームが存在し、加えてプロを輩出するといった輝かしい歴史を有しています。このような組織では社会人チーム出身者による強力な社内・社外人脈が構成されています。ここで培われたタテヨコの強い人的繋がりは業務面にも有形・無形の波及があり、このことが新卒・既卒採用にも影響を与えることがあります。体育会出身者の団結は強く、学生時代からOBとのつながりがあるため、いわゆる「体育会バイアス」が産まれる素地があるわけです。
電力業界で盛んな実業団スポーツとは?
しかし電力業界では歴史的にスポーツ活動が必ずしも盛んではありません。この業界で盛んに活動しているスポーツを列挙してみます。
九州電力 ラグビー
中国電力、四国電力 駅伝
中部電力 カーリング
いかがでしょうか? 少し拍子抜けしますね。石油・ガス業界などと大きく異なるのは「野球などのメジャーな球技がない(ほとんどない)」いうことです。古くは社会人野球に力を入れていた大手電力(四国電力、沖縄電力)がありました。また駅伝には東京電力が一時、力を注いでました。しかし特に3.11以降、電力業界は社会人スポーツに力を注ぐことがなくなっているのが実態です。電力という重要な社会インフラを扱っているため、スポーツを通じて企業イメージを改善するよりも、本業に専念するイメージを、より大切にする業界なのです。
体育会出身者がまれな役員クラス
加えてこの業界の役員、トップに体育会出身者はほとんどいません。理由はともかく、伝統的に文化系の嗜好をもつ経営者が多い実態にあります。このことも、この業界で体育会活動が定着しない理由のひとつとなっていると考えられます。このため、採用面接で体育会出身者であることをアピールしても、あまり(ほとんど)響きません。よく言われることですが、仕事上の体力(いわゆる馬力)や能力と、肉体上の体力とにはほとんど相関がありません。この業界にも有名大学の体育会出身者がいるにはいるのですが、経営者として活躍している例はほとんど(全く)ありません。体育会出身者が業務面で活躍していないことが、彼らの評価が必ずしも高くないことにつながっていると考えて差し支えないでしょう。
もとより、学生時代に体育会活動に打ち込むことは素晴らしいことで、採用活動においても一定の評価を得ることができると思います。しかし「ガクチカ」を体育会に限定する必要は全くなく、学生個人の活動を客観的に評価する、というのがこの業界の基本的な考え方です。採用面接では自分が力を注いだことを正々堂々と主張されることをお勧めします。採用担当者、課長・部長クラス、役員クラスに体育会出身者は比較的少なく、非体育会出身者の主張を客観的に受け止めてくれる業界だと思います。
業界事情に詳しいEnergy Research & Tech
Energy Research & Techはこのように業界内部の実状にも詳しい人的集団です。一般的な就職活動支援企業は学生の皆さまに対して、このような実践的なアドバイスはほとんど提供できません。ES提出、インターン活動、人事担当者によるオンライン・対面面接、役員面接など、すべての場面で業界実態に応じた適切なアドバイスをご提供させていただきます。